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東京高等裁判所 昭和44年(ネ)586号 判決 1969年10月15日

主文

本件各控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人らの負担とする。

事実

控訴人ら訴訟代理人は、「原判決中控訴人ら敗訴の部分を取消す。被控訴人の請求を棄却する。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴人訴訟代理人は控訴棄却の判決を求めた。

被控訴人訴訟代理人は、請求の原因として次のとおり述べた

「一 被控訴人は農産物包装用木箱類の製造販売を業とする者であり、控訴人会社は、同種商品および木製タイルの製造を業とする有限会社である。

二 控訴人会社は従前千葉県販売購買農業協同組合連合会(以下連合会という。)に対し農産物用木箱類を納入していたが、新たに木造タイル等の製造をはじめるため木箱類の納入ができなくなつたということで、被控訴人に対し、代金は控訴人会社において被控訴人に支払い、控訴人会社の代表者たる控訴人安助が控訴人会社の右代金支払義務について個人保証をするから、昭和四一年四月一日以降控訴人会社の名義を用いて被控訴人より連合会に木箱類を納入してもらいたいと依頼してきたので被控訴人はこれを承諾し同日以降同年六月一七日までの間に、パセリ、トマト、そら豆、とうもろこしなどの包装木箱類代金合計八二万四、八一〇円相当を連合会に納入し、右代金中四〇万四、〇〇〇円の支払を受けたが、残額四二万八一〇円については未だその支払を受けていない。

三 よつて被控訴人は控訴人らに対し右金四二万八一〇円およびこれに対する本件訴状送達の日の後である昭和四二年一月一日以降完済に至るまで商法所定年六分の割合による遅延損害金の連帯支払を求めるため本訴に及んだ。」

控訴人ら訴訟代理人は、答弁として、「右請求原因一の事実中、控訴人会社に関する部分は認めるが、その余の事実は知らない。同二の事実中、被控訴人と控訴人会社および控訴人安助との間に被控訴人主張のような約定がなされたとの点は否認しその余の事実は知らない。」と述べた。

証拠(省略)

理由

一  被控訴人が農産物包装用木箱類の製造販売を業とする者であることは、原審における被控訴人本人尋問の結果によつて認めることができ、控訴人会社が同種商品および木製タイルの製造を業とする有限会社であることは、当事者間に争がない。

二  いずれも成立に争のない乙第三、四号証の各一ないし四、同第五号証の一ないし八、原審における被控訴人本人尋問の結果により各成立を認め得る甲第二号証の四、同第五号証、原審証人瀬沼善治の証言により各成立を認め得る乙第一、二号証、同第三、四号証の各五、同第六号証の一ないし一二、原審証人瀬沼善治の証言および原審における被控訴人本人尋問の結果を総合し、これに弁論の全趣旨を参酌すれば、「控訴人会社は従前その製造にかかる農産物用木箱類を連合会に販売してきたが、昭和四一年三月頃新たに木造タイル等の製造、販売をはじめることとなつたため、木箱類の製造が困難になつたので、被控訴人を下請として使用して、連合会に対する木箱類の納入を継続しようと策し、被控訴人に対し、昭和四一年四月一日以降控訴人会社の名義を用いて被控訴人より連合会に木箱類を納入されたく、右についてはその代金は控訴人会社において被控訴人に支払い、控訴人会社の代表者たる控訴人安助が控訴人会社の右代金支払義務について個人保証をする旨を申入れたところ、被控訴人はこれを承諾し、同日以降同年六月一七日までの間に、連合会東京分室の注文を受けた控訴人会社の指図により、各種野菜の包装木箱類代金合計八二万四、八一〇円相当を指定された農協に直接納入し、右代金中四〇万四、〇〇〇円の支払を受けたが、残額四二万八一〇円については未だに支払を受けず、右残額支払のため控訴人会社が昭和四一年九月三日満期を同年一二月二五日として被控訴人宛に振出した金額五〇万円の約束手形も結局不渡となつた。」ことを認めることができ、他に右認定を左右するに足る証拠はない。

三  右事実によれば、控訴人らは被控訴人に対し連帯して右残代金四二万八一〇円およびこれに対する本件訴状送達の日の後であること記録上明かな昭和四二年一月一日以降完済に至るまで商法所定年六分の割合による遅延損害金を支払うべき義務あるものというべく、控訴人らに対する被控訴人の本訴請求は理由があり、これを認容した原判決は当審と若干理由を異にするとはいえ結局相当であるから、本件各控訴はいずれもこれを棄却すべきである。

よつて控訴費用の負担につき民事訴訟法第九五条、第八九条、第九三条を適用して、主文のとおり判決する。

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